東海道新幹線に乗ったり、東海地方に訪れると必ず注目するのが、駅名標です。駅名標というのは、駅名が表示されている看板のことで、鉄道各社によってさまざまな書体が使われているのです。グラフィックデザイナーなら見ようとしないでも自然と「あの鉄道会社はあのフォントだな」って思ってるはずです。さて、その東海地方の鉄道会社「JR東海」の駅名標は、旧国鉄時代の「すみ丸ゴシック」という書体を使われています。この書体、とても愛らしい。こんな時代なのにデジタル化されていないこともあって希少性も感じたりするわけです。で、東海道新幹線に乗車の際に、例のごとくまじまじと凝視しておりました。その勢いで購入したのが、この一冊。エピソードが長くなりましたが、この本を読むと、さらにこの書体のファンになりますね。依頼者、製作者それぞれの熱量が克明に記されています。すみ丸ゴシック以外のことだけではなく「鉄道文字」という切り口ではありますが、鉄道が生まれたその当時の思いや「駅」という存在に、書体が一役買ったといってもいいかもしれません。この本はそれらのことを知る一冊でもあるし、著者の取材力のすごさに脱帽。取材力を超えた鉄道文字への愛といったほうがいいかもしれません。
※画像は購入した私物です