DIARY

具体的に見える化するだけのデザインもある

現在、グラフィックデザインを中心にHP制作や映像制作など幅広くお仕事させていただいています。お仕事の多くは、企画や切り口から関わることが多く、自身はデザイナーではあるもののデザインはその方法のひとつとして捉えていることを基本としています。なので、極端な言い方をすると、デザインが必要ないって判断すればデザインはしない。なんだか、偉そうですが、これは長年大切にしている考え方です。依頼主の意図していること、訴求したいこと、ねらいとすること、それらをお聞きすると「これ、デザインを無駄にする必要ないんじゃないか」って場合もあるんです。現実として、私たちはデザインを依頼いただくと、当たり前ながら報酬をいただきます。必要のないデザインをして対価をいただくってちょっと違うなって思うわけですね。黙ってデザインの依頼を受けたらいいよって、ビジネスとしてはそんな考えもあったりするかもしれませんが、手がけたデザインが自身の作品ではなく、依頼主にとって「使えるツール」であって欲しいと思います。
そんな考え方なので、お仕事に中には具体的に見える化するだけのデザインを作ることもあります。本番デザインをつくるためのプロトタイプづくり。雑な言い方だと「たたき台」っていうもの。どこのどの仕事っていうのはここでは言えませんが、[とりあえず版]ってことで作って、それをベースに別の人のデザインに変わることもしばしば。あ、これは、使えないデザインってわけではなくて、ある会社のトップの方の頭の中にあることを視覚化するお仕事なんですよ。トップの方が具体的な言語やイメージを、他の方が理解できないってこともしばしば。そんな見えないものを咀嚼し、デザイン例として視覚化していく。そしてそのデザインがベースになって、細かい内容を社内でブラッシュアップ。具体化された内容をもとに担当者さんがお付き合いあるクリエイターへデザイン依頼っていう流れになってたりしますね。ドラマや映画でいうところの物語のプロット担当って感じですね。詳細な脚本は別の作家が作るっていう感じです。
自身の作品としてはこの世に残っていない仕事も、ビジネス上の使えるツールなんであればこれも意義あることとして捉えています。

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