COLUMN

ポートフォリオってどう作ったらいいの?

講師業の際に相談を受ける内容で、圧倒的に多いのがコレ。ほんとにみなさん悩んでるなぁって印象です。正解がわからないってことからの疑問なんだとは思うんですが、そもそも「正解はない」っていうのが、一言でいえばの答えではあります。ポートフォリオって自身を紹介するためのものなので、人と同じ紹介の仕方では自分の強みはアピールできていないわけです。ただ、だからといって、ポスターのようなサイズで作ったり、爆音を出すようなムービーだったり、はたまた巨大なオブジェにしてみたりってなると、個性はでるのかもしれませんが、相手が困るようなものになりかねず、非常識な人って評価になることもあるでしょう。っていうことから、近年では書式の統一(例えばA4サイズ)がされていることも多く、ポートフォリオを制作するWEBサービスなんてものも登場したこともあり、画一的なポートフォリオ制作が「正解」とされているんだろうなと想像しています。あと、進路相談のシーンや学校のアドバイスなども相まって、ますます「ポートフォリオってこういうもの」っていうのが固定概念のようなものができてしまってる気がします。こういう現在の流れを見ていると、作る人の思考を停止させているじゃないだろうかとモヤモヤすることが多々あります。たしかに、応募先によっては、サイズなどの仕様が制限されていることもあるので、自由に作るっていうのが正しいわけではありませんが、でもこれってクリエイターの普段の仕事においても同じなんです。依頼主からお題が出て、自由に創造を膨らませる。アリもナシも関係ないっていう柔軟な発想の中で、優れた表現を提案する。しかし、依頼主からのあれこれやの条件があり、その制限の中でベストを提案する。まさにポートフォリオづくりも同じことがいえます。応募先の条件を守りながら、求められている人材や企業色などを想像しながらポートフォリオを作ることって、プロとして求められるスキルの第一関門であるといってもいいかなと思います。
とまぁ、ちょっとシビアな話をここまで書きましたが、実際問題、初めて作る人にとっては何からやっていいのかわかりにくいでしょう。「ポートフォリオ」ってこうじゃなきゃいけないって情報が簡単に入ってくるし、ポートフォリオづくりの授業が組まれている学校もあったりするんで、「正解」はあるって認識になっていきますね。
ってことで、前置きが長くなりましたが、今日はポートフォリオづくりのポイントを書いておこうと思います。

●サイズについて
A4などの指定がなければ「A3」でよいです。せっかくつくった作品たちを際立たせるには広い紙面で見せたほうがよいですね。A3で作っておけば、A4提出厳守の応募先にもリサイズすればいいので。ただし、A3紙面でレイアウトすると紙面が広いのでページにたくさんのボリュームを掲載してしまい、A4に縮めると情報が小さくなってしまうので注意が必要です。

●1作品をページを跨いで見せる
1作品を1見開きで見せるという人が多いですが、そうするとページあたりの情報量が多くなり見にくくなります。ゆったり見せながら複数のページでしっかり見せることが大事です。その際は、1作品として関連あるように紙面デザインをする必要があります。例えば上部に帯を配置してタイトルをつけるような工夫ですね。

●掲載作品数は多い方がよい
就職指導や転職系のアドバイザーが、応募先の企業は忙しいからたくさん作品あっても見ないので厳選して掲載するようにと指導しているような話をたまに耳にします。これは大きな誤解です。そういった指導を、間違いとは一概にはいえませんが、募集企業の担当者が厳選された作品だけで実力を判断することは不可能です。とくに未経験者の採用の場合、伸びしろの判断をすることが多いわけですが、少ない作品数でそういった応募者の特性を見極められるとは思えません。あと、パラパラしか見ないっていう募集企業も少なからずありますが、パラパラしか見ないからこそたくさんの作品があればこそ伝わるはずです。少ないページだと、パラパラ見たらほんとに「パラ」っと見終わりますね。

●たくさんの作品を仕上ることで、実力は必ずつく
掲載作品数を多くしようとすると、作品づくりをしなければなりません。1つよりは2つ、2つより3つっていうように、作った数だけトライ&エラーを繰り返すので実力アップはいうまでもないです。表現力を上げることは、数では推し量れないこともありますが、数をこなすことで技術力は確実につきます。努力は裏切らないということですね。技術があれば、採用してくれる企業は確実にありますので、努力は必須といえます。

●自分は何が売りなのか??
まずは、作品をページに並べましょう。こんな話をすることが多々あります。ポートフォリオづくりは、自分ってどんな作品を作ってきたのかをフラットにみる機会でもあります。ですので、まずは見開き左に作品タイトルと説明、見開き右に作品を配置。淡々と作品を並べ、ページを作って欲しいです。そうすると、どんな作品が多いのかがわかるし、まとめ方もぼんやりと浮かんでくるかもしれません。そうすると、自分の売りが少しは見えてくるんじゃないかなと思いますし、誰かに相談するにしてもその状態ならアドバイスが受けやすいと思います。

とにかく。ポートフォリオってクリエイター職の人にだけ与えられた特権です。一般職の方なんて、履歴書と面接時のトークだけで勝負しないといけないけど、クリエイター職って恵まれてるなといつも思うんです。うまく話せなくても、ポートフォリオは、自分の代わりに話してくれるよき相棒ですので、作るのたいへんですけど、頑張ってほしいなと思います!

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